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シュテファン・ツヴァイク SchachnovelleStefan Zweig 經chachnovelleメ
ニューヨークからブエノス・アイレスに向かう汽船の中、物語の語り手である「私」はチェスの世界チャンピオンが乗船していることを耳にする。チャンピオンの名はミルコ・チェントヴィチ。幼くして父親を失い、土地の牧師に引き取られた彼は、およそ知性とは無縁であらゆる教育を全く受け付けなかった。 その無教養にも関わらずチェスにだけは無類の才能を見せるチェントヴィチに興味をもった「私」は彼に接触しようと試みるが、人との関わりを嫌う彼に全く近づけない。チェントヴィチを誘い出す手段、―それはチェス以外のなにものでもなかった。成金のマッコナーを相手にチェスをするうちにチェントヴィチが姿をあらわす。 自意識の塊のようなマッコナーは大金を支払ってチェントヴィチに挑戦する。居合わせた人が束になってかかっても、無論チャンピオンに敵うはずもなく、マッコナーは勝算のないままリベンジを繰り返す。 それを見かねた乗客の一人が今にも駒を動かそうとするマッコナーの腕を掴んで引き止める。「とんでもない。ダメだ。」―勝負に介入したその男は、勝ち目のなかった試合を引き分けにもちこんでみせる。 世界チャンピオンとの引き分けという信じがたい結果に驚いたマッコナーは男にチェントヴィチとの試合を勧めるが、彼は20年以上チェスをしていないという理由でその場を辞してしまう。チャンピオンとの再戦を求めるため、その男、ドクターBに接触した「私」が耳にしたのは孤独の極限の物語だった…。
チェスを題材として人間の精神をあからさまに描き出した、ドイツ文学のなかでも珠玉 の一冊である。
©Wataru Watanabe, 2002
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