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詳細情報

書名: 影をなくした男
岩波文庫
著者: Adelbert von Chamisso
翻訳: 池内 紀
出版: 岩波書店
発行: 1985/03/01
ISBN 4003241711

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アーデルベルト・フォン・シャミッソー

『影を無くした男』

Adelbert von Chamisso 絮eter Schlemihls wundersame Geschichte"

あらすじ

 船旅を終えたペーター・シュレミールは紹介状を携え、富豪のトーマス・ヨーン氏を訪ねる。ヨーン氏の邸宅はおりしも上流社会の来客で賑わっていた。来客の一人が薔薇の小枝を折り取ろうとして指に怪我をする。すると近くに立っていた、灰色の燕尾服を着た目立たない男がポケットからバンソウコウを取り出す。この男はさらにポケットからじゅうたんにテント、挙句の果 てには馬を三頭も取り出すが、誰もそれに気付かない。それに誰もこの男のことを知らないのである。  

 やがてこの男はシュレミールに話し掛け、シュレミールの影が欲しいと言い出す。その代償として男が申し出た幸運の金袋、無尽蔵に金貨を生み出す財布に目がくらみ、シュレミールは承諾を与えてしまう。男はシュレミールの影を無造作にクルクルと巻き取り、ポケットに収める。

 シュレミールはすぐにこの取引を後悔する。周囲の人々が彼に影がないことに気付き始めたのだ…。  

書評
 この作品はシャミッソーが1814年に発表したものである。19世紀の文学には現在読んでも十分に楽しめるものが多々あるが、この本もその1冊といえるだろう。19世紀の初頭に書かれた作品にドラえもんのプロトタイプのような人物が登場することも面 白いが、多様な読み、多様な解釈の可能性を提供しているところがこの本の一番の面 白みであるかもしれない。「影を無くす」ことが何を意味するのか、その答えは読者の数だけあるといえるだろう。

 ドイツロマン派の文学というと冗長なものも少なくないが、メルヘン仕立てのこの短編は発想の面 白さと程よいユーモアを備えた読みやすい作品である。

©Wataru Watanabe, 2002